『繭マスク』

山鹿『織姫伝承塾』の古閑先生が作られている『繭マスク』。
画像はマスクの中に入っている繭をほぐした真綿です。
これまでも愛用されている方はたくさんいらっしゃいましたが、最近テレビやラジオでその良さがたびたび紹介されてからは、作っても作っても間に合わない状態で、私も製作のお手伝いをさせて頂いてます。

初めての育蚕の時、大量に使用する石灰が発端で喘息が出てしまい、一度出てからは畑で土埃を浴びても走って少し息があがるだけでも発作が出てしまい、とても辛い思いをしました。
お蚕さんに早く葉をあげたい、でも発作が出ると目の前が真っ白になり落ち着くまでは何も見えなくなる状態で、ステロイドの点滴と吸入器でどうにか乗り越えました。
普段であればステロイドは避けたいのですが、育蚕の時は迷いもなく病院へすっ飛んで行き、ポケットの中の吸入器はお守りのようなものでした。

その話をした時、古閑先生が特製のどデカい繭マスクを作ってくれました。
『きっとお蚕さん達が守ってくれるからね』と。
それからは育蚕の時も、畑へ出る時も、肌身離さずどデカ繭マスクをはめてます。
『繭マスク』のぬくもりには安心感があります。
マスクの中でほぐされた糸は繭一個あたり1000m以上あります。
複雑に絡みあった繊細な糸がきっとほこりからガードしてくれていると思います。
糸自体が呼吸をするので、私は2重にはめていますが息苦しさもありません。
今はこのマスクが私のお守りのようなものです。

以降の育蚕期、ポケットの中に念のため潜ませている吸入器は今のところ使用していません。
心肺機能を高めるためにプールにも通いだしたので、基礎体力が上がってきたのもあると思います。

喘息は本当に辛いので、『繭マスク』があれば大丈夫、なんて軽はずみなことは言えませんが、
私のように薬以外のお守りのような『なにか』を見つけることができたら、発作がでたらどうしようと、いつもドキドキしていた気持ちに、安心感のような心の余裕が少しだけもてるのかもしれません。

養蚕農家の先輩からは、『あんた見かけによらずデリケートなところがあったちゃね~』と笑われます。養蚕は繊細な仕事でもありますが、年間を通して体力も要します。
自分で守れるところはしっかりと守りながら、体力もつけて、来シーズンの育蚕に向けて頑張りたいと思います。
この『繭マスク』のぬくもりと安心感をもっともっと多くの方に知って頂けたらいいなと思います。